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ミズキ ゲジゲジ

日本奇人伝

日本奇人伝

「空想石」、「約束」、「福の神」、「ろくでなし」、「空のサイフ」、「鳥カゴ」、「魔石」、「大いなる幻術」、「コブ」、「大人物」の短編10話を収録した、水木ワールド満載の本です。
どれも有名な話ばっかりなので、他の本に収録されているものもたくさんあります。
風刺であったり、人情であったり、水木先生ならではの視点から書かれる、これらの作品は、とにかく色んな人に読んでもらいたいです。 きっと、気づかれることがたくさんあります。

ヤモリビトpoints!

日本奇人伝

「ろくでなし」のワンシーン。
河童の皿を取る職業に就いてる鈍太と蛇麿。蛇麿は、人の好い河童を騙して、シビレ薬を盛り河童の皿を奪おうとする。
それを見ていた鈍太に「そんなひどいことをやって皿を集めていたのか!?」と問いつめられると、蛇麿が答える。
「すべての成功者は自分のことだけを考えているのだ。人のことなんかを考えてる人間は、いまの社会では、ろくでなしであり敗残者なのだ」
痛烈な社会風刺です。
今の社会のろくでなしは、実は善良な鈍太の方だったのです。鈍太は、自分が間違っているのかと仙人のもとを訪ねると、その仙人は「お金が人間の心を狂わしてしまっている。健全なのは鈍太である」と言う。
でも、成功するのは鈍太ではなく蛇麿。果たして、どちらの人生が正しいのか、楽しいのか。考えさせられます。


初版:1966年11月10日
出版社: 朝日ソノラマ

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