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ミズキ ゲジゲジ

夜の草笛

夜の草笛

街を騒がす"まぼろし"と呼ばれる盗賊。千両箱を宙に浮かせて運び去るという、魔法使いみたいなやつ。現場を目撃してしまった宗七は、犯人の正体を知ってしまう。
それが豪商の紀伊国屋。宗七は、命を助けるかわりに紀伊国屋の番頭として働かされることになる。
で、その紀伊国屋と宗七との確執や、娘との恋話などで話が盛り上がっていって、結局最後は宗七の裏切りで、紀伊国屋は捕まってしまう。
裏切った宗七の気持ち、宗七と娘のために裏切りを受け入れた紀伊国屋の気持ち。どちらも、よく伝わってきて、だらだらした展開を最後にビシッとしめてます。

ヤモリビトpoints!

夜の草笛

盗品の千両箱を、故郷の両親に持っていこうとする宗七が、捕り物に見つかってしまい、宗七を追っかけてきた紀伊国屋ともどもピンチに陥る場面。
自分勝手な行動と、自己満足な思考で危機を招いた宗七は、危機的状況においても紀伊国屋を信じようとはしない。
「わしはこの道五十年、用心ということを心得ておる」
長年の経験から紀伊国屋は、窮地を脱する術を知っている。宗七を心から助けようとしているのに、宗七にはそれが伝わらない。
結局、最後まで信じることができない宗七は、自分が助かるために紀伊国屋を告発する。現実の世界でも、こういうことってたくさんあります。
自分の思いを伝えるのって、本当に難しい。だいたいが、すべての結果が出た後に、みんな気づくんですよね。


初版:1966年11月20日
出版社: 東考社

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